印刷通販の基礎知識|知っておきたい27のポイント

印刷通販を使うときに、最低限知っておくべき基礎知識をまとめました。入稿データの作り方から、製本方法、用紙の種類、印刷方式、加工オプション、発注フローまで。これらを理解することで、印刷通販業者との打ち合わせがスムーズになり、思い通りの仕上がりが実現しやすくなります。

入稿データの基礎知識

① 入稿データとは

印刷通販で印刷を注文する際には、「入稿データ」と呼ばれるファイルを業者に提出します。これは、印刷する内容を指示するためのデジタルファイルです。

標準形式はPDFです。ほぼすべての印刷通販業者がPDF形式の入稿を受け付けています。PDF以外にも、Illustrator(.ai)、Photoshop(.psd)、InDesign(.indd)などの形式にも対応している業者が多いですが、業者によって異なるため、事前に確認が必要です。

重要なのは、入稿データが「印刷仕様に適合している」ことです。適切な解像度、色設定(CMYK)、アウトライン化されたフォント、塗り足しなどの要件を満たす必要があります。

② 塗り足し(ブリード)とは

塗り足しは、「完成時のサイズより外側に、3mm色を延ばす」という印刷の規格です。

印刷物は、大きな紙に複数まとめて印刷した後、裁断機で一枚ずつ切り分けます。その際、ほんのわずかなズレが生じることがあります。そのズレに対応するため、完成サイズより3mm外側まで色や背景を延ばしておくのが塗り足しです。

例えば、A4サイズ(210mm × 297mm)の完成を目指す場合、入稿データは216mm × 303mm(各辺に3mmずつ追加)で作成します。こうすることで、多少の断裁ズレが起きても、完成物の端まで色が詰まった仕上がりになります。

③ アウトライン化とは

アウトライン化は、「フォント(文字)を図形化して、フォントの環境依存を防ぐ処理」です。

Illustratorなどで文字を入力した場合、そのデータを別の環境で開くと、フォントが変わってしまうことがあります。これを防ぐため、文字を「図形」に変換しておきます。これがアウトライン化です。

印刷通販業者は、受け取ったデータをそのまま印刷するので、アウトライン化されていないと、業者の環境でフォントが置き換わり、レイアウトが崩れる可能性があります。PDF形式で入稿する場合も、フォントを埋め込んでおくことが重要です。

④ CMYKとRGBの違い

CMYKとRGBは、色を表現する2つの色空間です。印刷と画面では、異なる色表現方法を使います。

CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・キー/黒)は、印刷の色表現。インクの4色を混ぜて色を作ります。一般的な印刷は、このCMYKで行われます。

RGB(レッド・グリーン・ブルー)は、デジタル画面の色表現。光の3原色で色を表現します。パソコンの画面やスマートフォンの画面は、RGBです。

RGBで入稿すると、印刷時に色が変わることがあります。特に鮮やかな色は、印刷時に濁ることがよくあります。必ず、入稿前にデータをCMYKに変換しておきましょう。

⑤ 解像度(dpi)とは

解像度は、画像の細かさを表す指標です。dpi(dots per inch)という単位で表され、数字が大きいほど細かい画像になります。

一般的に、印刷物は350dpi以上の解像度が推奨されています。これは、印刷物を手に取って見てもドット(点)が見えず、滑らかに見える品質です。

低解像度(72dpi程度)で入稿すると、画像がぼやけたり、粗くなったりします。写真やイラストを含める場合は、解像度の確認が重要です。

⑥ トンボ(トリムマーク)とは

トンボは、印刷物の「断裁位置を示す目印」です。四隅に十字マークのような記号として印刷されます。

大きな紙に複数の印刷物を並べて印刷し、その後カットして分割するとき、トンボの位置を基準にして裁断します。業者によって、自動的にトンボを付ける場合と、デザイナーが入稿データに付ける場合があります。事前に確認しておきましょう。

⑦ データ保管期間とは

入稿データ保管期間は、「印刷通販業者が、あなたの入稿データをどのくらいの期間、保管してくれるか」という期間です。

同じデータで増刷(リピート)する場合、データ保管期間が長いほど、データの再入稿が不要になり、便利です。

各社の保管期間:

  • プリントアース:3年(最長)
  • ラクスル:2年(条件あり)
  • グラフィック:13ヶ月(オフセット限定)
  • プリントパック:3ヶ月(無料)

定期的に増刷する予定がある場合は、データ保管期間が長い業者を選ぶことをお勧めします。

製本方法の種類と選び方

① 無線綴じ(くるみ製本)

無線綴じは、「接着剤で背を固定する製本方法」です。冊子の背(背中)に接着剤を塗って、表紙と本文をくっつけます。

特徴:

  • ページ数が多い冊子に最適。最大1,200ページまで対応可能な業者もあります(プリントアース)
  • カタログやマニュアルなど、100ページを超える冊子に向いています
  • 見た目が本のような仕上がりで、高級感があります
  • ホチキスで留めるより丈夫です

コスト:中綴じより少し高めですが、ページ数が多いほど経済的です。

② 中綴じ

中綴じは、「ホチキスで中央を留めて、折り畳む製本方法」です。

特徴:

  • ページ数は40ページ程度までが目安。それ以上になると、ページが浮き上がってしまいます
  • チラシを2つ折りにしたような仕上がり
  • コスト安。少部数での製作に向いています
  • パンフレットや薄い冊子に最適です

③ PUR製本

PUR製本は、「ポリウレタン反応性ホットメルト(PUR)という高強度接着剤を使う製本方法」です。無線綴じの進化版と言えます。

特徴:

  • 無線綴じより丈夫で、ページが取れにくい
  • ページが開きやすく、フラットに広げられるため、マニュアルや教科書に最適
  • コストは無線綴じより少し高い
  • 対応している業者が限定的

④ リング製本・スパイラル製本

リング製本は、金属のリングで綴じる方法。スパイラル製本は、プラスチックのらせん状リボンで綴じる方法です。

特徴:

  • カレンダーやノート、手帳に多く使われます
  • ページが180度開けるため、使いやすい
  • 何度も開き閉じされる用途に向いています

⑤ 平綴じ(ホチキス)

平綴じは、「ホチキスで表紙と本文を留める製本方法」です。側面から見ると、表紙の端にホチキスが見えます。

特徴:

  • 薄いマニュアルや資料に向いています
  • 最もシンプルで、コストが最安
  • ページ数は10~20ページ程度が目安
  • 会議資料や社内文書に使われることが多いです

用紙の種類と選び方

① コート紙

コート紙は、「表面が光沢のあるコーティング紙」です。印刷通販で最も一般的な用紙の一つです。

特徴:

  • 光沢があり、鮮やかに見える
  • 写真の色合いが活きる
  • チラシ・フライヤー・カタログ・パンフレットに最適
  • つやのある高級感がある反面、指紋が付きやすい

② マットコート紙

マットコート紙は、「光沢がない、落ち着いた雰囲気の用紙」です。

特徴:

  • 光沢がなく、読みやすい
  • 高級感がありながら、落ち着いた印象
  • 会社案内・パンフレット・カタログに向いています
  • 文字が読みやすいため、テキストが多い印刷物に最適

③ 上質紙

上質紙は、「コーティングなしの素朴な白紙」です。コピー用紙よりは少し厚めですが、基本的に無地の紙です。

特徴:

  • 書き込みができる(鉛筆で記入可能)
  • 申込書・申請用紙・会議資料に向いています
  • 素朴で、ナチュラルな印象
  • 最も安い用紙の一つ

④ 用紙の厚さ(kg表示)

印刷用紙の厚さは、「kg」で表示されます。「90kg」「110kg」「135kg」「180kg」「220kg」など、数字が大きいほど厚い紙です。

各厚さの目安:

  • 90kg:薄め。チラシ・フライヤーに多い
  • 110kg:標準的。チラシ・パンフレットの一般的な厚さ
  • 135kg:やや厚め。高級感が出る。パンフレット・会社案内に
  • 180kg:厚い。名刺・ポストカード向け
  • 220kg以上:非常に厚い。封筒・台紙・特殊用途

⑤ 特殊紙

特殊紙は、コート紙・マットコート紙・上質紙以外の、個性的な紙のことです。

種類:

  • クラフト紙:茶色い厚めの紙。ナチュラル・エコ感が出る
  • 和紙:日本の伝統的な紙。高級感と和風感
  • ミラーコート:光沢がさらに強い特殊なコート紙
  • その他:ざらざらした紙、透ける紙など、様々

特殊紙は、多くの場合、グラフィックなどの地域業者が対応しています。印刷通販業者に問い合わせて、対応状況を確認しましょう。

⑥ スチレンボード

スチレンボードは、「発泡スチロール系の素材」です。一般的な紙ではなく、展示会や店頭用パネルの素材として使われます。

特徴:

  • 軽いため、持ち運びが容易
  • 厚さは3mm・5mm・7mmが一般的
  • 展示会のパネル・ポップ・POP、屋内看板に向いています
  • プリントアースが大部数に対応しています

印刷方式の種類

① オフセット印刷

オフセット印刷は、「版を使う高品質な印刷方式」です。ほぼすべての一般的な印刷物はこの方式で印刷されます。

特徴:

  • 高品質。色合いが正確で、綺麗に仕上がる
  • 大量印刷に向いている。100枚以上でコスト効率が良い
  • 版を作成する手間があるため、少部数では割高
  • 新聞・雑誌・カタログ・パンフレット・名刺など、様々な用途に使われます

② デジタル印刷(オンデマンド)

デジタル印刷は、「版を使わずに直接印刷する方式」です。オンデマンド印刷とも呼ばれます。

特徴:

  • 少部数に最適。1枚からでも印刷可能
  • 版を作らないため、小ロットでも低コスト
  • クイックターンアラウンド。急な印刷に対応しやすい
  • 色合いはオフセットより劣ることがある
  • チラシ・フライヤーの試し刷りや、小部数注文に向いています

③ インクジェット

インクジェット印刷は、「インクを噴射して印刷する方式」です。大判プリンタをイメージするとわかりやすいです。

特徴:

  • 大判ポスター・横断幕・のぼりなど、大きなサイズに向いている
  • フルカラー印刷が可能
  • 解像度はオフセットより低め
  • 屋外での使用を想定した、耐候性インクもあります

加工オプションの種類

① PP加工(ラミネート)

PP加工は、「プラスチックフィルムを印刷物の表面に貼る加工」です。ラミネート加工とも呼ばれます。

特徴:

  • 光沢PP:光沢がある仕上がり。高級感が出る
  • マットPP:光沢がない、落ち着いた仕上がり
  • 耐久性が向上。傷や水に強くなる
  • 会社案内・パンフレット・名刺に最適
  • 長く使う印刷物に推奨

② 箔押し加工

箔押し加工は、「金箔や銀箔を熱と圧力で印刷物に押し付ける加工」です。

特徴:

  • 金・銀・銅などの箔で、高級感と特別感が出る
  • 会社案内・ビジネス用封筒・高級名刺に向いています
  • 対応している業者は限定的(グラフィック、地域業者など)
  • コスト高め

③ 仕分け加工(合紙・帯留め・包装数量指定)

仕分け加工は、「納品時に複数の異なる商品をセットで梱包したり、特定の数量で小分けしたりする加工」です。

種類:

  • 合紙:異なる2種類以上の印刷物を、紙一枚で挟んでセット化
  • 帯留め(紙帯):複数の印刷物を紙帯で束ねて固定
  • 包装数量指定:1梱包あたりの枚数を指定(例:100枚ずつ小分け)

用途:

  • 複数店舗配布時に店舗別小分け
  • 展示会で、複数の資料をまとめて配布
  • プリントアースが特に充実した対応

印刷通販の発注フロー

① データ入稿から納品までの流れ

印刷通販での一般的な発注フローは、以下の通りです:

  • 1. データ入稿:完成したデータを業者に提出
  • 2. 入稿データ確認:業者がデータをチェック(問題があれば修正依頼)
  • 3. 印刷開始:確認完了後、印刷機で印刷
  • 4. 仕上げ加工:製本・断裁・PP加工など、必要な加工を実施
  • 5. 出荷準備:梱包・納品先確認
  • 6. 納品:配送業者で指定住所へ配達

この全体の期間は、業者や注文内容によって異なります。急ぎの場合は、受け付け時点で業者に伝えることが重要です。

② 校正(色校正)の重要性

校正は、「本印刷の前に、実際の色や仕上がりを確認するプロセス」です。

種類:

  • データ校正:デジタルデータで見た目を確認。業者によっては無料提供
  • 色校正(カラープルーフ):実際に印刷用紙に試し刷りして、色を確認。有料サービス(5,000~20,000円程度)

推奨:

  • 写真や色合いが重要な印刷物(会社案内・カタログなど)は、必ず色校正を受けることをお勧めします
  • 色校正で確認することで、本印刷時の色違いを防げます

③ 法人払いの種類

印刷通販では、複数の支払い方法に対応しています。特に法人の場合、支払い方法の選択肢が重要です。

一般的な支払い方法:

  • クレジットカード払い:ほぼ全社対応。即座に支払い完了
  • 銀行振込:ほぼ全社対応。振込手数料がかかることもある
  • 請求書払い(法人向け):後払い。経理処理が簡単。ただし、初回から対応している業者は少ない

重要なポイント:

プリントアースは、初回から請求書払いに対応している唯一の主要業者です。他社は、クレジットカード支払いなど、初回は前払い方式が多いため、初めての利用時は注意が必要です。

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